速度は出るのにZoomやゲームが途切れる — バッファブロートの調べ方
「速度テストでは500Mbps出ているのに、ビデオ会議だけ音が飛ぶ」。この矛盾の正体は、帯域ではなく負荷がかかった瞬間の遅延です。バッファブロートと呼ばれる現象で、速度の数字だけを見ていると永久に見つかりません。
無負荷時と負荷時の遅延差を自動で測定します
下り中・上り中の遅延を別々に計測し、A+〜Fの等級で判定。ルーターが犯人かどうかを根拠つきで絞り込みます。
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なぜ「速いのに途切れる」が起きるのか
ネットワーク機器は、送りきれないデータを一時的にバッファ(行列)に貯めます。このバッファが必要以上に大きいと、混雑したときにパケットが捨てられる代わりに長い行列に並ばされることになります。結果として、データは失われないものの到着が大幅に遅れます。
ファイルのダウンロードにとって、これは大した問題ではありません。数百ミリ秒遅れても総量が届けばよいからです。しかしビデオ会議・音声通話・オンラインゲームは「今この瞬間のデータ」が必要なので、行列に並ばされた時点で音飛び・カクつき・ラグとして体感されます。
これが「速度テストは満点なのに、通話だけ壊れる」という一見矛盾した症状の正体です。速度テストはどれだけ運べるかしか測っておらず、どれだけ待たされるかを測っていません。
こんな症状ならバッファブロートを疑う
- 家族が動画を見始めた・クラウド同期が走った瞬間に、通話が途切れる
- 大きなファイルをアップロードしている最中だけ、Webページの表示が極端に遅くなる
- 速度テストの数字は契約どおりなのに、ゲームのpingが戦闘中だけ跳ね上がる
- ルーターを再起動した直後だけ調子が良い
測り方:無負荷時遅延と負荷時遅延を比べる
バッファブロートの測定は、原理としてはとても単純です。
- 何も通信していない状態で遅延(レイテンシ)を測る … 無負荷時遅延
- 回線を目一杯使っている最中に、同じく遅延を測る … 負荷時遅延
- その差を見る
差が小さいほど良好です。無負荷時20msが負荷時25msなら優秀、無負荷時20msが負荷時300msに跳ねるなら深刻です。NeckCheckでは下り負荷中・上り負荷中を別々に計測します。片方向だけ悪化するケースがあり、まとめてしまうと原因を見誤るためです。
等級の見方
遅延の増加量は、一般に次の等級で評価されます(Waveform Bufferbloat Test の等級定義に準拠)。
| 等級 | 遅延の増加 | 体感・目安 |
|---|---|---|
| A+ | 5ms 未満 | 非常に良好。競技性の高いゲームでも問題になりにくい |
| A | 30ms 未満 | 良好。通常の利用で不満は出にくい |
| B | 100ms 未満 | 許容範囲。同時利用が多いと気になることがある |
| C | 200ms 未満 | 要対処。ビデオ会議・通話で違和感が出はじめる |
| D | 400ms 未満 | 深刻。同時利用時の通話・ゲームは実用が難しい |
| F | 400ms 以上 | 非常に深刻。混雑時は体感で明確に壊れる |
NeckCheckはC以下を検出した場合、ルーター(H3)を有力な容疑者として加点します。ただし1回の測定では「濃厚」までで、確定とはしません。
犯人の絞り込み手順
1. まずルーターを再起動して再測定する
費用ゼロで最初に試すべき手順です。長時間の連続稼働でメモリやセッション情報が逼迫している場合、再起動だけで等級が改善することがあります。改善したのに数日で再発するなら、ルーターの処理能力が実際の利用量に足りていない可能性が高くなります。
2. ファームウェアを最新にする
キュー制御の改善がファームウェア更新で入ることがあります。メーカーの管理画面から更新を確認してください。
3. 有線で測って切り分ける
LANケーブルで直結して測ったときも同じように遅延が跳ねるなら、原因はWi-Fiではなくルーター本体か回線側です。逆に有線では良好でWi-Fiのときだけ悪いなら、電波側の問題(Wi-Fiの帯域と規格の解説)を先に疑います。
4. 上り方向だけ悪いかを見る
上り負荷時だけ遅延が跳ねる場合、上り帯域が細い回線(VDSLなど)で発生しやすいパターンです。建物の配線方式が関係している可能性があるため、VDSLかどうかの見分け方も併せて確認してください。
ルーター買い替えを勧める前に
「Wi-Fi 6対応」「ゲーミング」と書かれていても、バッファブロート対策が入っているとは限りません。効果が期待できるのは、キュー制御(SQM・fq_codel 等)や実効的な帯域制御を備えた機種です。製品ページで機能名を確認してから選んでください。NeckCheckは診断で「濃厚」以上に至った仮説にのみ機器を提示し、それ以下では商品を表示しません。
再起動・ファームウェア更新でも等級がC以下のまま再現する場合に検討する機器です。買い替え前に上記の切り分けを済ませてください。
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関連ガイド
規格を上げる前に確認すべきこと。帯域ごとの得意・不得意を整理します。
上り側だけ細い場合、建物の配線方式が効いていることがあります。
時間帯で症状が変わるなら、機器ではなく接続方式が原因かもしれません。
有線で測って切り分けるとき、そのケーブル自体が上限を作っていないかを確認します。
バッファブロートを含む「遅延まわりの指標」の全体像を整理しています。
最終更新: 2026年7月25日
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